量子コンピュータの脅威に対抗する量子暗号通信技術の実用化が大きく前進しています。国内外の主要金融機関が量子鍵配送(QKD)システムの導入を開始し、将来の量子コンピュータによる暗号解読リスクへの備えを強化しています。 特に日本では、東京-大阪間を結ぶ量子暗号通信ネットワークの構築プロジェクトが進行中で、2026年の完全稼働を目指しています。このネットワークは金融取引データの送受信に使用され、理論上解読不可能な通信インフラとして期待されています。 また、米国国立標準技術研究所(NIST)が標準化した耐量子暗号(PQC)アルゴリズムの実装も加速しており、クラウドサービスプロバイダー各社が対応を急いでいます。GoogleとAmazon Web Services(AWS)は、2025年末までに主要サービスでPQC対応を完了すると発表しました。 セキュリティ専門家は「量子コンピュータが実用化される前に、既存の暗号化データが将来解読されるリスクに備える必要がある」と警告しており、長期保存が必要な機密データを扱う組織には早急な対応が求められています。量子暗号市場は2030年までに200億ドル規模に成長すると予測されており、今後の技術革新と普及が注目されています。
量子暗号通信の実用化が進展、主要金融機関が導入を開始
- 記事提供
- フィンテック・セキュリティレポート
- 公開日
- 2025-11-07